円建て投資信託をどうやって選ぶ?選定基準や注意点は?

    

海外分散投資を実践するうえで、海外資産への投資はドル建て口座で通貨分散して投資するのがベターですが、これから投資をはじめる人や資金が少ない人には、円建ての投資信託を活用することで代用できます。

円建ての投資信託で外国資産に投資する場合は、元資産の価格と為替レートを切り離すことはできませんが、
・少額でも外国資産に投資できる
・自動積立もできる
といったメリットがあります。

円建て資産や投資信託について詳しくは、コチラ ➡ ドル建て資産と円建て資産の違い

主な金融商品を一覧表で比較しています、コチラ ➡ ETFと投資信託・株式の比較

では円建て投資信託(ファンド)をどのように選べばよいでしょうか?

目   次
1.投資信託を選びにくい理由とは
2.投資信託を選ぶポイント
3.銘柄を選ぶときの選定基準
・インデックスorアクティブ
・投資信託のコスト
・自動積立機能
・為替ヘッジ
・信託期間と償還
4.銘柄を選ぶときの注意点
・人気がある銘柄=良い銘柄とは限らない
・金融機関のセールスはあてにしない
・毎月分配型は特性をよく理解する
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投資信託を選びにくい理由とは

投資信託のモーニングスターのサイトで調べてみると、国際株式、国際債券、国内株式、国内債券、その他を全てあわせた銘柄数は、合計5,124銘柄(2016年5月現在)もあります。

1つの証券会社で販売している銘柄数(2016年5月現在)を調べてみても、SBI証券で2,264銘柄、マネックス証券で915銘柄もあります。

これら多数の中から数点の銘柄を選んで投資する訳ですが、選ぶには多すぎます。

そもそも投資信託は、株や債券などの元資産を、各運用会社がそれぞれ設定したテーマに基づき組み入れているので、似たような銘柄がたくさんあります。

一例ですが日本株の投資信託の銘柄数を見ると
日本株への投資信託 781銘柄
うちインデックスファンド 185銘柄
うち日経225連動のファンド 39銘柄

ひとつのベンチマークである日経225に対し39銘柄もある訳ですから、更に数の多いアクティブファンドを含めると膨大に数になります。

銘柄数が膨大になる要因は、
・運用会社が多く、それぞれ似たような銘柄を設定している
・同じ銘柄でも決算頻度が違うものがある(年1回決算型、毎月決算型など)
・同じ銘柄でも為替ヘッジ有無や為替取引手法が違うものがある
などがあります。

また投資信託には、ETFのようなティッカー(略称の記号)がなく、同じような名前が多いため余計に分かりにくいです。間違えてしまうこともあるので注意が必要です。

数多くある投資信託の銘柄から、いったいどのような手順で選べばよいのでしょうか?

投資信託を選ぶポイント

100人いれば100通りの選び方がある投資信託ですが、ピンポイントで個別銘柄を選ぶよりも、性格の異なる資産種類の組み合わせを計画した後に、該当する銘柄を選ぶのが選びやすいです。

株、債券、先進国、新興国など大まかな資産種類の組み合わせ(アセットアロケーション)を計画する
 ↓
それぞれの資産種類の中から銘柄をリストアップ
 ↓
選定基準を決めて銘柄を選ぶ

シンプルな資産種類の組み合わせとして、
株式・先進国
株式・新興国
株式・国内
債券・先進国
債券・新興国
REIT・海外
REIT・国内
といった具合に分けます。

詳しくは、初めての人のための資産運用ガイドを参照下さい。

次に口座開設しているネット証券の投資信託の中から、それぞれの資産種類の銘柄をリストアップして、銘柄選びを行います。

先進国の場合は、アメリカのウェイトが圧倒的に大きいので、お好みでアメリカに置き換えてもよいと思います。

ひとつの銘柄で株式や債券に幅広く分散させたバランス型もあります。投資資金の額にもよりますが、
・株式や債券の比率を自分で変化させれない
・株式や債券の売買タイミングを変えられない
などのデメリットがあります。

ですから資産種類毎に銘柄を分けた方がベターと思います。

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銘柄を選ぶときの選定基準

資産種類毎に分けただけでは、銘柄が豊富にあるSBI証券やマネックス証券の口座では、たくさんの銘柄がリストアップされ決めきれません。

そこでスクリーニングするためには、幾つかの選定基準を作っておく必要があります。

主な選定基準について説明します。

インデックスorアクティブ

ファンドマネージャーの腕が運用成績に大きく反映されるアクティブファンドの半数以上は、インデックスファンドの運用成績を下回っています。

インデックスファンドよりもはるかに多くの銘柄があるアクティブファンドの銘柄を厳密に比較して、よい銘柄を選出するのはたいへん難しいです。

しかも過去の運用成績でしか評価できませんので、将来のファンドの成績が良いかどうかはわかりません。

またアクティブファンドは、信託報酬などが高く、全体的にコスト高になります。

インデックスファンドは信託報酬も安くあがり、長期運用ではこのコスト差はばかになりません。

以上のことからインデックスファンドを選ぶことが基本となります。

興味のある方は、チャールズ・エリス著の敗者のゲーム @ 長期投資に役立つ本の紹介が参考になります。

ただし組み入れたい資産種類に、適当なインデックスファンドがない場合もありますので、その場合はアクティブファンド選びます。

アクティブとインデックスを詳しく比較、コチラ ➡ 集中・一括・アクティブ投資と分散・積立・インデックス投資の比較まとめ

投資信託のコスト

投資信託のコストには、大きくわけて販売手数料と信託報酬があります。

販売手数料は、購入時に限ってかかる一時コストで、信託報酬は、所有期間中にかかる継続コストです。

投資家にとってコストは必ず収益を減らすものですから、安く抑えることが大切です。

信託報酬は、インデックスファンを選択することで安く抑えられます。

販売手数料については、3%を超えるものからノーロードつまり販売手数料ゼロのものまであります。販売手数料は、同じ銘柄でも証券会社によって異なります。

もちろんノーロードが望ましいです。最近の大手のネット証券では、ノーロードの銘柄が増えています。

そういった点でも、SBI証券マネックス証券という大手ネット証券を選ぶと有利になります。

自動積立機能

自動積立機能とは、投資信託を自動で定期的に定額購入する機能です。

積立投資は、購入時期を分散させ長期に運用することで、短期的な価格下落リスクを低く抑えることができます。

特に株式を組み入れる投資信託は値動きが大きくなるので、積立投資が有効になります。

自分で毎月定額の投資信託を購入しても同じことですが、相場に影響されたり、忘れたりするので、積立投資を行うときは自動にするのがよいです。

SBI証券マネックス証券では、たくさんの自動積立銘柄が準備されています。

自動積立は銘柄別にできる、できないがあるので、銘柄選定時に確認しておくとよいでしょう。

投資信託の具体的な自動積立について詳しくは、コチラ ➡ 低コストのインデックス投資信託を使った自動積立投資の方法

為替ヘッジ

投資信託には、同じ銘柄で為替ヘッジありとなしの両方が準備されているものもあります。

海外分散投資の大きな目的の一つとして、日本の国債暴落、財政破綻にも備えておくことがあげられます。そのためには、日本円への一極集中は避けるべきです。

為替ヘッジありの場合は、せっかく外国資産に投資したにもかかわらず、日本円への一極集中が解消されません。

つまり国債暴落とそれにともなう超円安が発生した場合、非常に大きなダメージを受けてしまいます。

したがって為替ヘッジはせずに、通貨を分散するのが基本的な考え方です。

信託期間と償還

投資信託の信託期間とは、運用を予定している期間をあらわします。償還とは、運用期間を終え信託財産の清算を行い投資家に返還することです。繰上償還とは、定めた期日以前に運用が終えることです。

長期投資を行う上で、途中で終わってしまうこと(繰上償還)は避けたいです。

投資信託の説明書や目論見書には、信託期間および繰上償還の条件が記載されています。

繰上償還の条件には、口数が○○口を下回った場合と記載されていることが多いです。

信託期間は無期限、そして繰上償還に記載の最低口数より十分余裕がある口数を維持している投資信託を選ぶのがよいでしょう。

なお、総資産額÷総口数=基準価格 の関係にあります。基準価格は、1口=1円のファンドは1万口あたりの価額、1口=1万円のファンドは1口あたりの価額で示されています。

銘柄を選ぶときの注意点

人気がある銘柄=良い銘柄とは限らない

ウォーレン・バフェットの言葉を引用します。

「ビジネスの世界で最も危険な言葉は、”他の誰もがやっている”です。」

「他人が貪欲になっている時は恐る恐る、周りが怖がっている時は貪欲に」

株価が上昇して、市場が絶頂期である時は慎重に行動する。逆に株価が下落して、市場が落胆している時に大胆に買いに動く。

つまりこれは群衆と逆の行動をとるということです。また安く買って、高く売るという理に適った行動でもあります。

皆が買っている銘柄、皆が買っているタイミングを、自分の判断基準にするのは危険です。

金融機関のセールスはあてにしない

郵便局や銀行などさまざまな金融機関で投資信託は販売されています。

販売する金融機関側からすると、投資家に投資信託を売って手数料を得ることが収益になります。

つまり客である投資家と販売する金融機関では、利益相反が起こることがあります。

金融機関は、投資家の要望にあう商品を提供する、投資家は、サービスのよい金融機関から欲しい商品を購入する このWin-Winの関係が望ましいと思います。

ネット証券は、窓口がなくセールストークもありませんので、自身で選んで自己責任で投資するのに最適です。

毎月分配型は特性をよく理解する

最近の投資信託は、毎月分配型が多くあります。

毎月分配型の投資信託の購入については、その分配方針や特性をよく理解して購入した方がよいでしょう。

毎月分配型については、コチラ ➡ 毎月分配型投資信託をどう使う?メリットとデメリットは?

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