株式投資をおこなう人はバリュー投資って聞いたことあるかもしれません。
いったいどんな投資法なんでしょう?
海外投資でも実践できるんでしょうか。
目 次 1.バリュー投資とは? 2.どうやって割安であるか判断する? ・PER(株価収益率) ・PBR(株価純資産倍率) ・ベンジャミン・グレアムのバリュー投資の指標 3.バリュー投資の問題点 4.バリュー投資のメリットとデメリット 5.プロでない投資家でも、最高のパフォーマンスを得る方法 6.まとめ |
バリュー投資とは?
世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの師匠 ベンジャミン・グレアムが「証券分析」につづき1949年に「賢明なる投資家」という、投資家にはなじみのある書でバリュー投資を世に広めました。
バリュー投資とはひらたく言うと、「株をその企業価値以下で買い、その企業価値まで株価が上がったら売却する」という投資法です。
そして、株価とその企業価値(一株当たり)の差が安全域とされます。株価が企業価値に比べて安ければ安いほど安全域が大きいことになります。
価値あるものをできるだけ安い価格で仕入れることなので、リスクを小さくして、利益を得ることにつながります。
現在では「企業価値以下で買う」ということろが、「割安の株を買う」と拡大解釈されて一般的に使われています。
ただここで一つ大きな問題があります。
どうやって企業価値を計るかです。つまり割安であるかを、何をもって判断するかということです。
どうやって割安であるか判断する?
株価が企業価値に対して、割安か割高かをみる指標はいくつかあります。
PER(株価収益率)
PERは、株価が純利益の何倍あるかをあらわします。
PER=株価÷1株当たりの純利益=株価時価総額÷純利益
この数値が小さいほど、利益に対して株価が低いということができるので、割安ともいえます。
純利益は、決算毎に発表されます。四半期毎に利益予想を発表する会社もあり、PERはすぐに計算できます。PERは、Yahoo! ファイナンスなどにも表示されています。
ただし、利益はブレが大きいため、評価がころころ変わります。また、利益だけでは、その会社の借入金など財務状況が反映されません。
PBR(株価純資産倍率)
PBRは、株価が純資産の何倍あるかをあらわします。
PBR=株価÷1株当たりの純資産=株価時価総額÷純資産
この数値が小さいほど、純資産に対して株価が低いということができるので、割安ともいえます。
純資産は、決算毎に発表されます。四半期毎にバランスシートが発表されるので、PBRはすぐに計算できます。PBRは、Yahoo! ファイナンスなどにも表示されています。
純資産は解散価値ともいわれ、バランスシート上の企業価値ともいえます。ところがPBRだけでは利益状況が反映されないので、利益が少なく株価が上がらず長年PBRが低いということもあります。
PERとPBRを併せて評価するという手法が、広義のバリュー投資では一般的です。
ベンジャミン・グレアムのバリュー投資の指標
「証券投資」と「賢明なる投資家」にバリュー投資の考え方が記されています。「証券投資」はぶ厚い本で、理解しながら読むにはなかなかハードな本です。
管理人もずいぶん昔に読んだので、記憶がだいぶ薄れていますが、財務諸表等より企業の次のことを調べあげ、企業を評価するとされています。
・適切な規模
・財務状況
・過去20年の配当
・過去10年の決算
・一株当たりの利益の伸び
・PBR 1.5以下
・過去3年の平均収益のPER 15以下
結構骨の折れる調査・分析です。特に過去の決算報告書や年次報告書を集めるだけでも一苦労です。
詳しくは知りたい方は、「証券投資」「賢明なる投資家」を読んで見て下さい。
バリュー投資の問題点
企業の調査や分析に多くの知識や労力が必要
個人投資家が、自分でバリュー投資を実践するには、高度な知識や多くの労力が必要になります。もともと投資に近い職業であればとっつきやすいかもしれませんが、普通の会社員が財務諸表を読み解き、企業を分析するという作業は、困難をともないます。
PERとPBRだけをみた広義のバリュー投資をおこない、精度の悪い分析をもとに売買をしても良い成果にはならないでしょう。
バリュー株(割安株)がそもそも減っている
バリュー株は、そんじょそこらに転がっている訳ではありません。また1929年の世界恐慌後のベンジャミン・グレアムの時代のアメリカと比較して、そもそもバリュー株が少なくなっています。
日本株は右肩上がりに上がらない
日本株の動きと米国株の動きは大きく異なります。次のチャートは、日経平均と米国ダウ平均の比較です。
米国株は、下落しても右肩上がりを続けていますが、日本株は、未だにバブルの高値に大きくおよびません。
米国株は下落すると、別の買いが入りやすく値が比較的早く持ち直します。
一方日本株は、一度下落するとなかなか浮上せず、下がった状態が長く続く傾向があります。様子見が長いんです。
日本企業のバリュー株を買うことができても、長らく上昇しない低空飛行の銘柄も多い傾向にあるといえます。
米国株は英語の財務諸表で分析しなければならない
投資環境のよい米国株でバリュー投資をする場合は、なんといってもことばの問題が大きいです。
財務諸表や企業情報を英文で読み解くことは、英語が苦手な人にとっては難題でしょう。
バリュー投資のメリットとデメリット
個人の投資家が、バリュー株投資を実践する場合のメリットとデメリットをまとめてみました。
メリット
・株を適切に選択出来れば投資リスクを低くできる
デメリット
・成長力のある企業が株価を上げていく過程の利益を得られない
・高度な知識と多くの分析労力が必要
・バリュー株が減っている
・ずっと上がらず低空飛行もある、ボロ株もある
・外国株は英語での情報収集が必要
バリュー株のパフォーマンス
一言でバリュー株投資といっても、投資家の数だけ投資法があるし、投資時期が違えばパフォーマンスも違います。
ベンジャミン・グレアムの影響を大きく受けたウォーレン・バフェットも、フィリップ・フィッシャーのグロース投資の影響もあって、バリュー投資からグロース投資に変化しています。
成長株投資については、フィリップ・A・フィッシャーの「フィッシャーの超成長株投資」を読んで見て下さい。ただフィッシャーの企業調査は、個人の投資家ではまず出来ないです。
プロでない投資家でも、最高のパフォーマンスを得る方法
プロのファンドマネージャーが運用するバリュー株対象の投資信託ですら、市場平均をなかなか上回れない実状のなか、個人投資家がバリュー投資という切り口で投資して市場平均を大きく上回るのは至難の業でしょう。
ただし、プロでない個人投資家でも良いバリュー株を仕入れることができるチャンスもあります。
それは市場の大暴落の時です。
2008年のリーマンショックでは、ほとんどすべての株式が大暴落しました。実質の企業価値が高くても株価はどんどん下がり、株のバーゲンセールがおこりました。
そこで仕入れた株の多くがその後大きく上昇したことは言うまでもありません。
頻度はそうそうありませんが、暴落の時こそチャンスです。
これは個別企業株に限った話ではありません。株を対象としたETFや投資信託も同じことです。
海外投資でも、英語が苦手でも、暴落の時であれば、株価指数のETFを通して、割安になった株式を安い価格で仕入れることができます。
これを書いている2017年7月の時点で、米国株は9年右肩上がりの上昇を続けています。利上げも始まりましたし、そろそろチャンスが到来してもおかしくありません。
まとめ
バリュー株投資 or グロース株投資 という対極の手法のいずれかが正しいという比較は、ナンセンスということでしょう。
これから価値のあがるものを安く買うということは、どちらも共通して言えることです。
投資経験の少ないサラリーマン投資家には、多くの時間をかけて個別企業の株を調査・分析・売買するよりも、株価指数に通貨と時間を分散させて投資する方が、総じて良いリターンをもたらしてくれると思います。
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