日本の高度成長期もとうに終わり、少子高齢化が進み、社会福祉費が増加して財政状況は深刻な状況は、まるで日本の国が成長期から老齢期になるかのようです。
高度成長期に整備された国の骨幹ともいえる年金制度や税制度などさまざまな政策や制度の前提が音を立てて崩れています。
終身雇用で給料は増加し、退職金をもらった後は十分な年金で老後を終える。そんな望ましい老後生活は過去のものとなっています。日本の国の様子の変化が、私たちの老後にも大きく影響しています。
目 次 1.老後貧乏とは 2.老後貧乏に陥りやすいリスク ・さらなる長生きのリスク ・年金減額のリスク ・増税のリスク ・インフレのリスク 3.老後貧乏の対策 |
老後貧乏についてよく理解しておくと、老後貧乏を回避する対策を考えるにも役立つでしょう。
老後貧乏とは
老後に資金が枯渇して、貧乏な生活を強いられるのが「老後貧乏」ですが、現役時代に十分な収入があり、老後の資金を準備していたつもりでも「老後貧乏」に陥る可能性が高くなっています。
老後資金を準備できずに老後貧乏に陥ると思われがちですが、ある程度の老後資金を確保していたにも拘らず老後貧乏に陥るケースが増えています。
現役時代に十分な収入があると、それに伴い家計の支出も増えています。ところが定年後の年金生活になると収入が大幅に減ってしまいます。
十分な収入があった時の生活レベルを維持しようとすると、年金の不足分を補うためには多くの老後資金がなければ維持できません。
現役時代の収入が高く、生活レベルが高い人ほど、現役時代と老後の収入ギャップが大きくなリ、準備した老後資金が不足する事態に陥ってしまいます。
これまでの生活レベルを落とすことが出来なければ、老後資金が枯渇してしまいます。
老後の資金について詳しくは、コチラ ➡ 老後に必要なお金はいくら?
老後貧乏に陥りやすいリスク
老後貧乏に陥りやすいリスクとして、大きく次のリスクが挙げられます。
さらなる長生きのリスク
長寿・長生きはめでたいことですが、お金の面ではリスクになります。
平成27年の厚生労働省発表の生命表では、
2015年の年齢 | 平均余命 | 寿命年齢 |
---|---|---|
男 0歳 | 80.79歳 | 80.79歳 |
男 20歳 | 61.17歳 | 81.17歳 |
男 40歳 | 41.80歳 | 81.80歳 |
男 60歳 | 19.46歳 | 79.46歳 |
女 0歳 | 87.05歳 | 87.05歳 |
女 20歳 | 67.37歳 | 87.37歳 |
女 40歳 | 47.73歳 | 84.73歳 |
女 60歳 | 24.31歳 | 84.31歳 |
60歳の定年後、平均でも男性で約20年、女性では約25年生きることが分かります。
以上は平均の年齢ですが、90歳まで生存する割合をみると、
男性は25%、女性は49%にもなります。
男性では4分の1、女性では半分が90歳まで生きるという超長生き時代になっています。
60歳の定年からも人生の3分の1が残っていることになります。これは収入が少ない期間が長期化することを表します。
残念ながらこの長くなった老後の時間が、老後貧乏のリスクを高くする要因になってしまいます。
年金減額のリスク
日本は今後、働き盛りの生産年齢人口が減り、65歳以上の高齢者の割合が高くなることが確実です。
今後約15年で人口が8%減り、高齢化率が7%も増える急激な変化です。その後は更に人口減少と少子高齢化が進みます。
少子高齢化の影響で、年金を受け取る高齢世代が増加し、支払いをする現役世代は減少しています。
今の現役世代は、老後に支払いをしてくれる更に若い世代がいなければ制度は成り立ちません。
今後年金制度延命のため、支給開始年齢引き上げ、支給額の減額、保険金の増額といったマイナーチェンジを行いながら、このままずるずる時間が過ぎ、行き詰まりに近づくでしょう。
年金支給開始年齢引き上げを含む年金減額が、老後貧乏のリスクを高くする要因になってしまいます。
増税のリスク
日本の借金は平成26年度末で1,010兆円を超えました。びっくりする金額ですが、いまなお膨らみ続けています。
国の借金の程度を他の国と比較する場合、 債務残高と経済規模を表すGDPの割合で比較します。日本は210%を超え世界でダントツ1位の借金国です。
国の収入である税収はバブル以降横ばいであるのに比べ、社会保障費関連費は2000年からの15年間で1.8倍に増加しています。
人口減少・少子高齢化の加速で今後いっそう増加する見込みです。
日本の国の財政破綻を回避するために、今後ますます、消費税、相続税、所得税、資産税などの税金の負担はどんどん増えるでしょう。
増税は、老後の生活を圧迫し、老後貧乏のリスクを高くする要因になってしまいます。
インフレのリスク
老後のために貯蓄したお金も、 物価上昇の影響(インフレ)で時間とともに価値が減少します。
現在日銀のインフレ目標が2%が示すとおり、経済的には若干のインフレが望ましいとされています。
バブル以降の長いデフレ(物価下落)で、インフレの影響は抑えられてきましたが、インフレが進むと貯蓄した老後資金の価値が下がってしまいます。
更に、日本の財政不安を発端としたインフレやハイパーインフレが発生した場合は、準備した老後資金の価値は壊滅的な被害を受けてしまいます。
インフレは、老後のために蓄えた資金を蝕み、老後貧乏のリスクを高くする要因になってしまいます。
老後貧乏の対策
老後貧乏の対策は、いろいろあります。
・収入の多様化(複数の収入)
・自分で年金(不労所得)つくる
・円資産を分散させる
・インフレ対応する
などです。
いずれも早い時期に取り掛かるほど効果が大きくなります。
お金の不安をなくし、健康で長生きした老後生活を送りたいものです。