これからの日本を考えてみるうえで、雇用環境はたいへん気になるところです。
40代以下の人は、自身が定年まで今の会社で安定して働いていけると思いますか?
もちろん雇用については、業種や会社、規模によって大きく異なりますが、全体の傾向は統計値から推測できます。
この先、企業間競争で強い企業と弱い企業の二極化が進むとともに、稼ぐ人とそうでない人の格差が進むのは避けられません。
その結果、残念ながら多数派は、稼ぐ人ではない人です。そこで収入の多様化の必要性がでてきます。
日本の雇用制度
戦後の日本の高度経済成長を支えた雇用制度の柱は、
1.終身雇用
2.年功序列の給与体系
3.賞与制度
4.労働組合 といわれています。
企業は正社員を雇い、長期に渡り育てることで企業も育ちました。ところが近年ではかなり様子が変わりました。
非正規社員(契約・嘱託・派遣・パート・アルバイト)という雇用形態が多くなってきました。
正規社員と非正規社員の推移
次のグラフは正規社員と非正規社員の数の推移をあらわしています。
非正規社員(契約・嘱託・派遣・パート・アルバイト)の割合が増加しています。
非正規社員はすでに労働者全体の3分の1を超え、37%に達しており、過去最高を更新しています。
次のグラフは正規社員と非正規社員の賃金の推移をあらわしたものです。
正規社員は年齢とともに賃金が大きく増えますが、非正規社員以外は賃金が増えていません。
正規社員と非正規社員では賃金に大きな差があります。
以上のデータから、
収入が多い正規社員が減って、収入の少ない非正規社員が増えている状況がみえてきます。
雇用形態と二極化
本来人件費は固定費だったんですが、すでに変動費化してます。つまり売上に合わせて労働者を増やしたり減らしたりするのです。
マーケットのニーズが多様化しているので、去年バカ売れした商品が今年は全く売れないなんてよくあります。
マーケットのニーズと競合先との競争に、企業の組織も適合させる必要があるのでリストラが頻繁に起こります。
企業の視点で見れば、企業が生き残ることが最重要です。能力主義や成果主義の導入・拡大で社員競争を促進します。
能力主義というと聞こえはいいですが、デキル人を選ぶと、同時にデキナイ人も決まってしまいます。
これも企業の視点では、企業を成長させるための戦略です。
企業は継続することが使命ですから、企業の視点で有益なことは今後もどんどん進めるでしょう。
その結果、企業間競争で強い企業と弱い企業の二極化が進むとともに、稼ぐ人とそうでない人の二極化が進むのは避けられません。
あるセミナーでこんな話を聞いたことがあります。
組織で、ランダムに10人を選んでチームを作り仕事を遂行すると、2人のデキル人、6人の普通の人、2人のデキナイ人に分かれる傾向がある。(パレートの法則)
ここで複数あるチームの、デキル人ばかリを集めたチームを作ると、その中でも2人のデキル人、6人の普通の人、2人のデキナイ人に分かれるそうです。
これはデキナイ人ばかりを集めたチームの中でも同様だそうです。
企業はこんなことを考えながら、組織の最適化を狙う訳ですが、働いている当人とってはストレスのたまる話ですね。
雇用環境のこれから
競争格差社会における二極化を良しととるか悪しととるかは別として、いずれにしてもストレスたまる社会になります。
これまで記載した統計のデータや現状の社会や企業のようすをみても、終身雇用という道は狭くなっていくでしょう。
しかし、悪いことばかりとも限りません。
マーケットのニーズが多様化しているということは、それに応じる仕事も多様化していることに他なりません。
インターネットの普及で、個人でもさまざまなビジネスができるようになってきました。
収入の多様化により、このストレス社会に適応することもできます。それがストレスからの逃げ道にもなりえます。
インターネットを利用した証券投資
インターネットを利用した物品や情報販売
その気になれば個人でもいろんなことができます。
(2015年10月)
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