国の財政破綻とはひらたく言うと、日本政府と通貨である日本円が他の国から信用がなくなり、日本国債の引き受け手が減り、債務返済ができず、資金繰りが滞る状態です。
会社では倒産、家計では破産と似た状態です。
日本の財政破綻については、本や各種メディアでよく話題にされるようになってきました。
生活に直結する大問題ですので、現状とその結果起こりうることは知っておく必要があります。
そこから資産を守るために必要な対策が見えてきます。
日本の財政
日本の借金は平成26年度末で1,010兆円にもなります。
びっくりする金額ですが、いまなお膨らみ続けています。
国の借金の程度を他の国と比較する場合、債務残高と経済規模を表すGDPの割合で比較します。
日本は210%を超え世界でダントツ1位の借金国です。
2011年のギリシャが180%程度ですからそれよりもはるかに深刻です。
出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/notice.html
今の日本に暮らしていると危機感は感じられませんが、
昭和18年頃に債務残高が200%を超え財政破綻を経験したことがあります。
この時の財政金融引き締め政策で、物価上昇は約300倍に達し、日本国債の実質的価値は99%なくなりました。
当時円や日本国債を持っていた人は、その価値をなくしました。
円の紙幣が紙くず同様になったのです。
つまり、円の実質価値を減らし、国民の資産を犠牲にして、国の借金を棒引きしました。
戦後60年以上経過して、日本は再び危機的な財政状況にあります。
少子高齢化が進み、社会福祉費が増加して更に財政状況は深刻になるでしょう。
景気が良くなれば財政危機を克服できそうですが、実は80年代のバブルの時でも国の債務残高は増加していました。つまり慢性的に収入よりも支出が多いのです。
出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/notice.html
財政破綻はいつおこるかは誰にも予想できません。
しかしおきた時に備えることはできます。
日本の年度収支
債務残高はこれまでの借金の累計ですが、傾向をもう少し把握するために年度の収支を確認してみます。
平成27年度政府予算案(一般会計、財務省HPより)をみると、
・歳入(つまり収入) 96兆円(消費増税分1.7兆円含む)
うち公債金(つまり借入金) 37兆円(歳入の39%)
・歳出(つまり支出) 96兆円
うち国債費(つまり借入金の返済) 23兆円(歳出の24%)
37兆円借りて23兆円の返済に充当しています。
13兆円を新しく借金していることになります。
これでは雪だるま式に膨らむばかりです。
国債費を除く歳出の内訳は、
・社会保障関連費 32兆円
・地方交付税交付金等 16兆円
・公共事業 6兆円
・防衛 5兆円
・その他
社会保障関連費が際立って多いです。
次の図でこの社会保障関連費の年度推移がわかります。
出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/notice.html
社会保障費関連費は2000年からの15年間で1.8倍に増加しています。
人口減少・少子高齢化の加速で今後いっそう増加する見込みです。
今の日本の財政状況を、
同じ比率で家計に置き換えてみると、
年収590万円の世帯が、
1億100万円の借金を抱えているにも拘わらず、年収以上の730万円を使い、
不足分と230万円の借金返済のために、410万円借金している状況です。
こんな状態を継続できると思いますか?
借金は雪だるま式に膨れ上がります。
金利が上がればすぐに返済不能になります。
また信用が落ちればすぐ貸し手がいなくなります。
日本の財政が破綻するとどうなる?
以前発生したアルゼンチンやロシア、韓国の財政破綻においては、次のことがおこりました。
・自国通貨の為替暴落
・ハイパーインフレ(自国通貨の実質価値大幅減)
・預金封鎖
先日のギリシャ危機は、共通通貨ユーロ使用なので少し異なりますが、
預金引出規制が行われ、銀行にならぶ長蛇の列が世界中に中継されました。
これから更に厳しい支出削減が行われることになります。
日本において国債暴落、財政破綻が発生した場合も、程度によりますが同様のことが起こり得ます。
・極端な円安
・ハイパーインフレ(国債と円の実質価値大幅減)
・預金封鎖
円の実質価値が下がり、国の実質借金を棒引きして帳尻を合わせる
という経済的作用が働くことになります。
(2015年10月)
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